双方の言い分

今日こんな記事が出た。
>>希望ミスマッチ…派遣切り救済雇用 応募サッパリ(1月20日8時1分配信 産経新聞
 全国の製造業で相次ぐ非正規社員の「派遣切り」。雇用対策として、さいたま市が発表した臨時職員100人の採用計画の応募が8人にとどまったことが明らかになったが、新規雇用を打ち出したほかの企業や自治体でも元派遣社員の応募が少数にすぎない実態が分かってきた。「派遣切り救済」と「人手不足解消」の一石二鳥を狙った企業や自治体は肩すかしを食った格好となっている。
 高齢者介護施設を全国で展開するさいたま市の介護会社「メデカジャパン」。日産や日本IBMなど派遣社員削減を発表した30社に人員募集の文書を送ったが、「応募は1件しかありません」(担当者)。
 「派遣削減が報道されたあらゆる企業に送っているが、職種や場所がなかなか合わないようで」と担当者は戸惑いを隠さない。 (以下略)<<
小規模ながらにお義父さんから会社を継いでいるだんなさんは経営者。彼は夕飯時にこの話題になったら必ず「働きたくない人間には手を差し伸べても無駄、やっぱり派遣切りされた側には真摯に働く気がないヤツも多いんじゃないか」と言う。これは一理。本当に明日のお金がない人で自己破産をしたくないと真剣に考えている人たちなら、希望の職種、業種と言っている余裕はないはず。とりあえずは派遣よりも守られる契約社員、うまくすれば正社員の道があるならがむしゃらに応募してほしい、という経営側のだんなさんの気持ちはよく分かる。(こう書くと問題になった坂本総務政務官の発言を擁護しているようだが、町工場や中小企業の社長さんの方が政治家よりは現場での苦労をよく知った上で言っているのでちょっと違うつもりでいる)
ただ、私は前職で工場で日雇いや月雇いで仕事をしている人たちとも飲んだり、食ったりしていたから彼らの言い分も分かる。真偽の程は定かではないけれど、よくリストラ時に言われる「働きアリの法則」というのがある。あくせく働いているように見える働きアリでさえ、全体の2割は怠けている。その2割を排除すると、以前働いていた8割の内また2割が働かなくなる・・・常に「よく働く:働く:怠ける」の対比は2:6:2とか3:5:2だ、というような理論である。
これが全てとは言わないが、環境は人を慣らしてしまうので、確かに一度日雇いや月雇いで働いた人の多くが「調子悪いからとか自分の都合で大きく休めない社員なんかイヤ」と思っている。実は社員だって風邪を引けば休まないほうが迷惑だし、多少は私用で休んだり、「今日は行きたくない・・・」で休んだりしているわけだが、そこはイメージ先行、でもある。
今失業している人の多くは「もうちょっときつくない仕事があるはず、自分はもうちょっと違うことができるはず」と思って応募を待っているのかもしれない。一方で恐らくここ数年、簡単に企業の求人が復活するとも思えない。
今は一度、「もうちょっと」の理想や自分の遊びとの天秤を捨てて、定期的に給料をもらえる立場に戻る努力をした方が絶対に明日の自分のためになる、と思う。定期収入が入れば別の飛躍の道も必ず見えてくるはずなのだから。