医療費と介護とおばあちゃんと

ちょっと長いけど、知恵熱が出ちゃうほど真面目に考えたので記念に。
我が家のおばあちゃんがリハビリ兼短期入所施設から出所してきた。元々糖尿病で目と足腰が弱い所に骨もすかすかしているので、ふらふらはしていたのだが、春先に風邪を引いて肺炎を起こしたらすっかり弱ってしまった。その時うった点滴が元で目も片方見えなくなってしまったし、何よりもやはり不安なのは足腰である。まあ、彼女が入院した時は「このまま身重でお葬式かな・・・」とまで考えていたから、その懸念は当たらず良かったのだが、やはりこれからどうしていくか、1日一緒に暮らしただけで考えさせられた。
誰だって寝たきりで天井を見つめて過ごしたくはない。だから雪だるまちゃんと私も色々相談して「できる所まではリハビリセンターやデイケアに通わせて人との交流を切らないように、1人で歩いて最低限の事(着替えと食事とトイレかな)はできるようにしておいてあげたい」という方針でお金をかけてお世話をしている。
おばあちゃんの家庭はフクザツで、若い頃にばたばたした時期があったから彼女には年金が月に1万数千円しか出ない。それでも雪だるまちゃんと私が働けば、それなりに外にも出して上げられるからそうしよ、と2人で決めたのだ。
でもその気持ちはおばあちゃんにはなかなか伝わらない。歩行器を使って部屋からトイレまでは何とかたどり着けるのだが、尿意を催してから立ち上がってトイレにたどり着くまでにそれが漏れてしまうと「オムツにしてる方が楽だ」という話になってしまう。かと言って本人は何でもできる気満々だから、私には「リハビリの人や娘(雪だるまちゃんね)は私ができる事をやらせてくれない」と逆切れする。私は雪だるまちゃんと一蓮托生と決めているから心を鬼にして
「リハビリのプロの人たちがやらせないっていう事は、おばあちゃんが今はできないって言う事。頑張ってやってごらん。」
と言う。するとむっつりと聞こえない振りをするおばあちゃん。そんな構図が1日だけで何度かあった。そうなると私もむううとなった空気を振り払うべくげんじょを構ってみたりして。我が家は今、4人家族なのに2人しか実働部隊がいない、奇異な構成なのだ。
何よりも恐ろしいのはおばあちゃんの口から「ありがとう」とか「助かったわ」とか、そんな感謝の言葉が消えてしまった事。口をついて出るのは不平やもっと自分を構えというアピールである。う〜ん、私は最期まで感謝して死んでいきたいなあ、と思う。
真面目ついでに関連でもう1つ。
goo NIKKEI NEWS MAILがよくまとまっていたので引用させていただく。

┏━━トップニュース━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ◆医療費7兆円圧縮・厚労省が改革試案
  厚生労働省は19日、医療費の抑制に向けた医療制度改革の試案を発表した。患
 者の窓口負担引き上げや75歳以上の人だけが入る保険制度の新設など高齢者の負
 担を増やすのが柱。生活習慣病の予防も徹底する。患者負担を除く医療給付費を
 2025年度に49兆円と今の見通しより7兆円圧縮する。42兆円への削減を求める経
 済財政諮問会議や高齢者の反発を懸念する与党との調整は難航しそうだ。
  政府は与党とともに医療制度改革案を今年末までに決め、来年の通常国会に関
 連法案を提出、06年度からの段階実施をめざす。試案を実施すると、25年度の医
 療給付費は国民所得の9.1%(現行制度では10.5%)になると厚労省は試算して
 いる。
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日本国の財政は基本的に破綻していると思えば間違いない。そうそう国家的に使う額は減らせないのだから、入札制度の見直しや公務員の篤い保障を是正するといった方法であちこちにメスを入れなきゃならないし、別途収入は増やさなきゃならない。
だから私は消費税増税も、この高齢者医療費のアップも、国民年金の専業主婦免除撤廃も全てやるしかないと思っている。特に高齢者医療の今回の改革案は私が見る限り利にかなっているように思う。
老人、と言われる年代の中で、65歳から75歳というのは本当に収入が分かれる所。私は自分の祖母とだんなさんのご両親を見比べる事ができるから、そこに1千万単位の収入差があるのは歴然と分かる。だから年の収入条件を下げるのではなく、ある一定の高額所得者の医療負担を増やす、というのは至極まっとうに思えたりする。(違うケースがあるかもだけど。)
ただ、療養施設の食事を実費にする、というのはちょっと頂けない。人間食べなければ生きていかれないのだ。最近はもう食事を与えるかも全て家族との契約で決まっているから、真面目な話、「お金がもったいないからうちの老人にだけは食事を出さなくて結構です」と家族が契約すれば、デイケア先でその老人だけがおやつや食事にありつけない、なんて状況も生まれてくるのだ。
デイケアを「家族の都合で年寄りを日中厄介払いしているだけじゃん」と捉えているから出てくる発想なのかもしれないが、きちんと理由があって預けている人がほとんどなのだ。他の所にメスを入れてもらえたらな、と今は思う。
あああ。手が疲れちゃった。げんじょと一緒にごろごろしようかな。