10年前の人らしい

だんなさんは身近の人が物心ついてから亡くなっていないので、実は入院することも、寿命よりも前に自分が死ぬという可能性も全く考えていない。そこは父方の祖父、父親、叔父とばたばたと早い死に立ち会った私とは考え方が全く違う。何しろ私と雪だるまちゃんは父親が長く入院して亡くなった時、保険と言うものの重要性とありがたさをしみじみと感じたのだ。
そんなわけで結婚の時に特に保険に入っていなかっただんなさんに頼み込んで彼の弟さんが課長をしている住友生命の保険に入ってもらった。それが2年半前のこと。そして今回げんじょの誕生を受けて、死亡保険金の受取人を私からげんじょにする変更と、げんじょ自身の積み立て型保険に入ってくれと頼んだ。するとだんなさん「自分がどんな保険に入ってるか忘れた」という。「じゃあいいや、保険証券見せてよ」「それなあに?」
・・・どうやらだんなさん、重要な物とは思わず、なくしちゃったらしいのだ。じゃとりあえずげんじょの保険だけでも先にやろう、ということで、弟さん経由で住友生命の担当の方からお勧めの積み立て型保険を紹介してもらった。当然担当者はだんなさんの会社に行くので、だんなさん経由で申し込み書類が私のところに。さっそく書き込もうとすると既に契約者のところにだんなさんの名前が電算で打ち込んである。
「これ、契約者があなたならあなたが自署しなきゃダメよ」
というと、「誰でもいいって保険のおばさんが言ってたよ?」とお返事が。さすが法人で入っていると待遇が違うんだなあ、と思いつつ書いてだんなさんに渡したらすぐにだんなさんから電話がかかってきた。
「契約者が書かなきゃいけないんだってさ」
ほらぁ、言ったじゃないか・・・と呆れていると、埒が明かないと思ったのか保険のおばさんから直接電話がかかってきた。すぐに自宅まで来てもらって契約と訂正を行うことに。こうなるとスムーズである。少し世間話もして打ち解けた時、ぽろり、とおばさんが口を滑らせた。
「自分で書いてください、って渡した書類を説明もなしにぽんとおくさんに渡して書かせるっていう人種も10年位前まではいたんですけどねえ」
そうか。だんなさんは今年48歳か・・・。もうすっかり慣れてたからそれが普通なのかと思っていたが、そうでもないのかなあ。