カーナビ子

今日はお仕事がどえらく遅くなったのでずるしてタクシーで帰ってしまった。
帰りに乗った個人タクシーの運転手さんがどうもカーナビを購入したばかりだったらしく、「住所を言ってくれるとそこまで誘導してあげますよ♪」と嬉しそうに語りかけてくるので、住所を何丁目まで教えてあげた。
運転手さんは路肩に車を寄せ、メーターを支払いにして拙い手つきで住所情報を入力。セットを押すと、ぴろん、とチャイムが鳴り、「ルートガセッテイデキマシタ」と女の人が語りかけてきた。おお、すばらしい、はじめてみるカーナビに母子共に大興奮。でも一番興奮してるのは運転手さんだったらしく、「ミギデス」「ヒダリデス」と語りかけてくる女性の声に返事をしながらハンドルを切る。ただここで一つ問題が起きた。
私の住んでいる下町に行くのには、ちょうど皇居がほぼ真ん中にある形となる。要は皇居を東回りするか西回りするかで運転手さんとカーナビ子さんの意見が割れたのだ。
いきなり運転手さんは「こっちの方が絶対早い」とコース変更。カーナビ子さんが「ルートヲハズレマシタ」と教えてくれているのに無視して突き進む。カーナビ子さんは健気にもカリカリ、と考えて新しいルートを設定するが、運転手さんは彼女の語り掛けに答えてもくれなくなってしまった。
無事に着きはしたものの、こんな短い間に蜜月だった2人にひびがいるなんて・・・としみじみタクシーを降りた私だった。